サプライズ好きな人々ーイスラエルから
地球だより
コロナ禍で都市封鎖中だった先週、近所の友人に呼ばれた。半年ぶりに会うのでケーキを焼いていった。
ドアをノックして開けた途端、思いがけず親族の集まりに出くわした。友人の兄弟姉妹たちが円になって座っていた。テーブルには幾つもの手作りケーキや果物が並んでいる。友人のお姉さんに促されるまま椅子に座った。
何の集まりかと聞いたら、友人の娘が大学に行くお祝いのサプライズパーティーだという。イスラエル人は、本当にサプライズパーティーが好きである。
そうこうしているうちに、友人とその兄がさらに豪華なお店のケーキを二つも持って帰ってきた。役者もそろったところで、ケーキに花火を立てお祝いの歌を歌った。
まさかこんな集まりをしていると思わずに作って持っていったケーキは、シンプル過ぎてテーブルの隅っこで居心地悪そうにしていた。
友人は、親元を離れてアパート暮らしになる娘のために精いっぱい祝ってあげたかったのだという。父親は、彼女が生まれて3カ月の時に事故で亡くなっている。本来なら、しゃれたレストランにでも集まって盛大に祝うところだが、このご時世なのでささやかに家で祝っていたのだ。叔父さん叔母さんたちは、友人の娘のポケットに次々餞別(せんべつ)を差し入れていた。
皿にいっぱいの甘いケーキをいただいた後、みんなで曲をかけ踊りだした。自分は、祝いの言葉を告げて早めに友人の家を出た。娘さんの将来に幸あれと祈りながら。
(M)