米中間選挙、多様な背景持つ候補当選
米共和党、「高齢白人政党」から脱却?
今月4日の米中間選挙で大勝した野党・共和党は、多様な背景を持つ候補者を当選させた。政権奪回を目指す同党にとって、「高齢白人政党」のイメージ脱却が急務だっただけに、2016年次期大統領選に向けて明るい材料だ。
(ワシントン・早川俊行)
12年の前回大統領選では、黒人の93%、ヒスパニック(中南米系)の71%、若者(18~29歳)の60%、女性の55%がオバマ大統領に投票。マイノリティー(少数派)、若者、女性を支持基盤として固めたことが、オバマ氏の大きな勝因となった。
社会の多様化に順応する与党・民主党に対し、共和党は白人男性、高齢者頼みの状態。白人票の割合は大統領選ごとに2~4%減少しているとされ、マイノリティーや若者など幅広い有権者層から支持される政党に脱皮することが重要課題になっていた。
そうした中、今回の中間選挙では、共和党の「変化」を感じさせる多様な背景を持った候補者が当選を果たしている。
ユタ州の下院選では、中米ハイチ移民2世でモルモン教徒のミア・ラブ氏(38)が当選。共和党から黒人女性の下院議員が誕生するのは初めてのことだ。サウスカロライナ州の上院補選では、黒人男性のティム・スコット氏(49)が圧勝した。
2人の当選について、メディアからは「民主党が共和党は黒人のことを考えていないと主張するのは難しくなった」(カリフォルニア州のオレンジ・カウンティ・レジスター紙)との見方が出ている。
また、アイオワ州の上院選で初当選したジョニ・アーンスト氏(44)は、州兵としてイラク戦争に派遣された経験の持ち主。軍歴を持つ初の女性上院議員となる。
ニューヨーク州の下院選では、エリース・ステファニク氏が女性では史上最年少の30歳で当選。同氏は名門ハーバード大を卒業した才媛で、伝統的に民主党が強い選挙区で同党候補に圧勝した。
このほか、オバマ大統領のお膝元イリノイ州の知事選で、民主党現職を破ったブルース・ラウナー氏(57)はユダヤ系。ウェストバージニア州では、18歳の女子大生が州下院議員に当選している。
共和党から人種、宗教、性別で多様な候補が当選したことについて、保守派コラムニストのマイケル・トーブ氏は「共和党に白人男性集団というレッテルを貼るのは困難になった。共和党の未来は明るい」と指摘する。
共和党の新しい顔触れが、次期大統領選で有権者の投票行動にどの程度影響を与えるかはまだ分からない。それでも、党のイメージ改善に寄与するのは間違いなく、共和党にとって上院の多数派奪還とともに中間選挙のもう一つの勝利と言えそうだ。