中南米で存在感強める中国


地球だより

 安倍首相が、先月末から今月初めにかけてブラジルを訪問した。ブラジルのメディアにおいても、日系社会だけでなく安倍首相が歓待された様子が報道されたが、注目度という観点から言えば、中国の習主席による南米歴訪のインパクトは実に大きかった。

 それもそのはず、先月半ばに中南米数カ国を訪問した習主席の「おみやげ」がすごかったのだ。習主席は、ブラジルだけで8700億円、ベネズエラとアルゼンチン、キューバを含む4カ国で全体で、約3兆円規模の投融資を約束した。この4カ国は中南米の動向を左右する国でもある。

 今や、「世界の工場」として米国に次ぐ経済力を持ち、世界最大の人口を抱える中国は、南米で資源や食料に膨大な投資と買い付けを行っており、その規模では日本はとうてい適(かな)う相手ではないのは確か。

 一方、今回の安倍首相によるブラジル訪問では、ブラジルが進める深海油田開発でのプラットフォーム売却や先端医療分野などでの貢献や投資などが議題に上った。

 ブラジルには、世界最大の100万人を超える日系移民がいるが、百年を超える移民史の中で、日系移民はブラジルの野菜産業などの基盤を作り、医師や会計士など、信頼と信用、勤勉さを必要とされる分野で高い評価を得てきた。

 現在、日本の先端医療技術などを輸出してブラジルの医療に貢献し、経済投資に結びつけようという動きもあるという。日本にしかできない貢献で日本の存在感を強く示してほしいものだ。

(S)