韓米FTA再協議の批准に反対する理由
韓米自由貿易協定(FTA)再協議の結果が国会の批准同意を控えている。基本的に不満が残る部分は、追加譲歩が相互貿易の拡大均衡を実現するものではなく、むしろ弱い産業の行き過ぎた保護に重点が置かれた合意であるという点だ。
米国のトラック製造業は25%にもなる関税爆弾で持ちこたえ、消費者の多様な潜在需要をわずか六つの国内ブランドで充足させてきた代表的斜陽産業だ。2021年には撤廃される関税を今回さらに20年間延長することに合意したため、韓国のピックアップトラックの対米進出は水泡に帰した。
韓国の自動車安全基準と環境基準の適用では、米国産輸入自動車が享受する免除の恩恵を倍に増やし、米国基準を事実上受け入れることにしたが、安全と環境の問題で大幅に譲歩した点は非難されるべきだ。
その代価として、韓国政府は農産物市場を守り、鉄鋼に対するトランプ報復関税から免除の恩恵を受けたことを掲げている。しかし、もともと農産物の追加開放はトランプ政府の関心事項でもなく、米国側が自ら撤回したイシューだった。鉄鋼関税免除の代価として例年の輸出物量の70%水準のクォーター(割当)の設定を受け入れることに同意してしまったが、これを「交渉成果」にしてしまうこともおかしい。
さらに、工業製品の輸出クォーター設定に合意することは世界貿易機構(WTO)の規範が禁止している。第3国がいつでもWTOに訴訟を提起できるので、世界で初めて不法な鉄鋼クォーターを受け入れてしまった大韓民国の国際的な威信に関わる問題でもある。
北朝鮮核問題をめぐって、どう転ぶかもしれない南・北・米首脳会談政局を維持しようと、通商という庶民が直接打撃を被る民生部門を従属変数と見なして、譲歩してしまった。これが筆者が韓米FTA再協議の結果の批准に同意しない理由だ。
(崔源穆(チェウォンモク)梨花女子大教授通商法、10月8日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。