“子供は国が育てる”発想で人口減少防げ


韓国紙セゲイルボ

 少子化問題が深刻だ。昨年、韓国の出生児が35万人台に減少し、合計出産率(女性1人が一生の間に産む子供の数)が史上最低の1・05人に落ちた。現在の人口を維持しようとすれば2・1人は必要なので、その半分の水準だ。韓国が少子化で国家が消滅する地球上の最初の国になるだろうという海外の人口学者の主張が荒唐無稽ではなくなる。

 問題は国家危機、災難状況という警告があふれているのに、まだ現実を正しく把握できてないという点だ。最近、自由韓国党の金学容議員が「最近の若者は自分が幸せで自分が良い暮らしをすることが重要で、子を産むのを敬遠する。青年が価値観を変えなければならない」と忠告し、世論の袋叩(だた)きに遭った。子を産みたくても産めない若者たちの苦情を分からないという理由からだ。

 少子化問題は非婚と晩婚に伴う婚姻・出産の遅延、青年の就職難、女性の社会的地位などが複合的に絡まっている。昨年、韓国の婚姻件数は26万4500件で一昨年より1万7200件減った。明らかなことは若者が未来は不安だとして結婚、出産を忌避するという点だ。文在寅大統領も現状を“国家的危機”と規定して対策を指示した。政府がこの10年間130兆ウォンを注ぎ込んで、約2000もの制度をつくったが大きな効果がなかった。なぜか。政府の診断が誤っていたり、施行過程でどこかに消えた金が多いという意味だ。

 人口減少の災難を防ごうとするなら“子供を産めば国が育てる”という発想の転換が重要だ。男女が共同育児し、就職と昇進で既婚女性の不利益をなくし、女性の人権を高めるなど、仕事をしながらでも子育てしやすい社会をつくることが根本的な処方箋だ。

(蔡禧昌(チェヒチャン)論説委員、9月20日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。