統一と分断の岐路でなすべきこと


韓国紙セゲイルボ

政府・政界は憲法に従う道進め

 「大韓民国は、統一を指向し、自由民主的基本秩序に立脚した平和的統一政策を樹立し、これを推進する」。憲法第4条の統一条項だ。

 大統領はまた憲法第69条に基づき、就任時に「私は憲法を順守し、国家を保衛し、祖国の平和的統一と(略)、大統領としての職責を誠実に遂行すること」を国民の前に厳粛に宣誓する。

 このように大韓民国の大統領には統一政策を樹立して推進する義務がある。それも体制は自由民主的基本秩序に立脚しなければならず、方法は平和的でなければならない。万一、大統領が統一を指向しなかったり、統一形態を自由民主的基本秩序によるものにしなければ、大統領の任務を怠っているのであり、憲法を順守していないことになる。

 統一部が昨年11月に発表した「文在寅の韓半島政策」によれば、「北朝鮮崩壊を願わず、吸収統一および人為的統一を願わないことを通じて、南と北がお互いを尊重して協力しながら、共に良く暮らす韓半島を追求する」とされている。

 統一政策の樹立と推進が使命であるはずの統一部が、統一をしないという「3NO」政策を誇るかのように打ち出しているのだ。

 ついに今年3月には、「南北が一緒に暮らそうが、別に生きようが、互いに干渉せず、互いに避けず、共に繁栄しながら平和に暮らせるようにしなければならない」とした。分断管理論を跳び越えて、1民族2国家の連邦制や永久分断論だとの疑いを持たれる内容だ。これは“統一推進”という憲法に明示された大統領の義務に明確に反する。

 あえて憲法に反する発言をして政策を展開する本当の理由は何か。70年間の独裁と飢餓、人権不在の中で否応なしに暮らす2500万の北の同胞に思いを致してみなかったのか気になる。

 われわれが統一を追求する目的は、南北住民のより良い暮らしではないのか。今でも中国と東南アジアを彷徨(さまよ)う脱北者と北の同胞たちを無視して、韓国人は果たして幸せを謳歌(おうか)できるだろうか。

 独裁権力、独裁体制の安全をなぜ、われわれが保証しなければならないのか。軍事同盟国の米国に北朝鮮の体制安全を保証しろと韓国政府が要求することがまともなことなのか。

 憲法により国民から権力を委任された政府と与野党政界は額を突き合わせて統一と永久分断の岐路でどんな道を選択するのか熟考する時だ。

(趙貞鎮論説委員兼統一研究委員、6月1日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。