地球上で唯一残った非武装地帯の未来
韓国紙セゲイルボ
韓半島を分ける「非武装地帯」(DMZ)。韓国動乱の休戦と同時に軍事的衝突を防止するためにつくった緩衝地帯だったが65年間、そこが非武装であったことはなかった。重火器が配備され、地雷が炸裂(さくれつ)し、生死が交錯する激戦場だった。
ベトナムを21年間南北に、ドイツを40余年間東西に分けた非武装地帯があったが、ここは冷戦の終息と和解という世界の潮流を拒否し、今でもこれ見よがしに残る世界唯一のDMZだ。
はっきり調べれば地球上に非武装でない所がどこにあるか。長い内戦で人間が生きていけない地獄の土地になったシリアを考えれば、ソウルに近いにDMZはむしろ平和の地であり生命の地だ。同族間の争いの傷痕を残しているものの、空襲と化学武器使用が日常になって数多くの命が犠牲になる惨状とは違う。茂った谷間と稜線(りょうせん)に今まさに協力と和解の気勢が宿り始めている。
南北首脳は板門店宣言で、「5月1日から軍事境界線一帯で拡声器放送とビラ散布等の敵対行為を中止し、手段を撤廃し、非武装地帯を実質的な平和の地にすることにした」と世界に告げた。
南北指導者の決意がいくら固く熱くても、60年間の不信を1日で取り戻すことはできない。千里の道も一歩からという。拡声器が撤去され監視小哨が撤収され、信頼が行き来すれば、鉄条網、地雷が除去され、人の営みが動植物と共に交わるその日、悲しい歴史の地は“自然の宝庫”“歴史の宝庫”に生まれ変わるだろう。
(金起弘論説委員、5月1日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。