韓国、原潜導入で米国と交渉開始か

ビル・ガーツ

 韓国政府は、米韓が原子力潜水艦の導入をめぐって実務レベルでの交渉を開始することを明らかにした。巡航ミサイル搭載可能な原潜の韓国への売却または貸与が明らかにされれば、韓国軍は、北朝鮮に対する抑止力として、通常兵器による長距離攻撃能力を備えるようになり、米韓両国の同盟関係も大幅に強化される。

 AP通信が報じたところによると、韓国大統領府は、韓国の防衛力強化への米国の取り組みの一環として、原潜導入交渉を開始することで合意した。韓国はほかに、偵察機などの先進兵器も導入するという。

 文氏は、韓国政府が2000年代初めに原潜の建造について調査し、その後断念して以降、原潜の開発で米国から支援を求めることを支持してきた。

 国際評価戦略センターのリチャード・フィッシャー上級研究員は、韓国に原潜を供与することは、北朝鮮の核・ミサイル開発計画への秘密支援を抑制するよう中国に求める強力なメッセージになると指摘した。

 トランプ政権は最近、北朝鮮に移動式ミサイル発射台に使用されている6台のトラックを提供したとして、中国のミサイルメーカーに制裁を科した。

 フィッシャー氏は「韓国の原潜導入への支援は、消極的だったオバマ政権とは対照的だ。戦略的能力は今後数十年間、中国軍の脅威を効果的に抑止するために必要であり、アジアの同盟国による戦略的能力獲得を米国が積極支援するという意味で重大な変化の始まりとなる」と訴えた。

 フィッシャー氏は原潜導入によって核兵器を持たずに戦略的能力を持つことができ、「中国に対する警告になる」と主張。「中国が北朝鮮の核・ミサイル開発計画への支援を続け、軍事的脅威を今後も強めれば、米国としては、独自に核抑止力を持つことを望む同盟国を支援する以外にあまり選択肢はなくなる」と、日本とオーストラリアの原潜導入の可能性についても触れた。

 中国は、米同盟国の核武装支援への布石だとして原潜供与に反対するとみられる。

 フィッシャー氏は、「米国は原潜の供与について検討しており、強まる中国からの軍事的脅威に対する、広範囲な同盟による、冷戦時のような防衛力の動員に取り掛かるべきだ」と、対中抑止力としての同盟国への原潜供与の必要性を強調した。