北がミサイル挑発しても“対話”叫ぶ外交安保当局
鄭義溶新任大統領府国家安保室長は指名初日の21日、「南北関係こそわれわれが主導して、復元するべきだと考える」と述べた。文正仁統一・外交・安保特別補佐官は、「近い期間内に文在寅大統領が北の指導者と第3次首脳会談を行い、これまでの困難を克服するように願う」と語った。統一部は22日、「民間交流など南北関係主要懸案に対して柔軟に検討していくつもりだ」と言った。交流再開を表した発表だ。
北朝鮮がミサイル挑発を敢行した日、外交安保の指令塔は南北対話を強調し、統一部はそれに相槌を打った格好だ。南北交流が長期間断絶するのは望ましいことでない。緊張を緩和して、平和と協力の出口を開かなければならない。しかし、北朝鮮に誤ったサインを送るならば、それこそあってはならないことだ。北核脅威は増し、北の恐喝に振り回されることが繰り返されるのはあまりにも明白だ。韓米同盟までが傷つくこともありうる。
金正恩労働党委員長は中距離弾道ミサイル「北極星2型」(KN-15)を大量生産して、実戦配備せよとの指示を出したという。朝鮮中央通信は21日、平南北倉から発射した弾道ミサイルが実戦配備のためのものと伝えた。北極星2型は500~600㌔㌘の核弾頭を搭載し、2000㌔㍍以上の射程がある弾道ミサイルだ。北朝鮮は北極星2型を「新しい戦略兵器体系であり、強い威力のある核戦略兵器」と明らかにした。韓国はもちろんアジアの主要米軍基地が全て射程圏に入る。北極星2型の大量実戦配備は北核脅威が恐るべき段階に進んだことを意味する。米国が激しい反応を見せ、国連安保理が非公開会議を緊急招集したのはこのためだ。
こうした状況ならば強力な対北朝鮮警告が出てきてしかるべきだ。しかし韓国政府の対応は以前とは異なる。鄭安保室長は指名後、初めての国家安全保障会議(NSC)常任委員会を招集したが、別途に対北朝鮮警告を行わなかった。外交部がスポークスマン名義で、「無謀で無責任な行動であり、強力に糾弾する」としただけだ。新しく指名された大統領府と外交部の外交安保トップは北核と4強外交に対する経験が一度もない。鄭安保室長と康京和外交部長官候補者は通商・多者外交専門家だ。北核と4強外交を正しく行っていけるか疑問だ。こうした状況で北朝鮮の核ミサイル大量実戦配備には口を閉じ、南北関係復元だけを叫ぶなら、均衡感を喪失しているという批判を聞くことになるだろう。
(5月23日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。