米新政権始動、対米依存見直し契機に


韓国紙セゲイルボ

防衛分担増と戦作権移管要求か

 トランプ政府がスタートし、韓米関係は大きな不確実性に直面している。韓米同盟が相変わらず剛健で信頼できる同盟であることは明らかだが、トランプ政府が提起するイシューは多分に挑戦的だ。トランプ時代の韓米関係では安保と経済、北朝鮮の核問題解決法と関連した多様な政策変化が予想される。

 安保に関して、韓国は2種類の直撃弾に直面する可能性が大きい。防衛費分担増額と戦時作戦統制権(戦作権)早期移管だ。トランプ氏は選挙中、韓国を安保タダ乗り国と規定した。今後、大幅に拡大した同盟費用分担を要求する可能性が大きい。戦作権も早期に韓国側に移管して、韓国が自ら防御責任を負うよう要求する可能性も小さくない。

 韓国が安保タダ乗りをしているというトランプ氏の認識は根拠のない偏見だ。韓国はすでに十分に在韓米軍費用を負担している。マーク・リパット前駐韓米大使はメディアとのインタビューで、「韓国は在韓米軍駐留にあって非人的費用の55%を負担しており、国内の米軍基地建設費用の90%以上を担当している」と述べた。

 米シンクタンクのアメリカンアクションフォーラム(AAF)で発刊した報告書は、「韓国が在韓米軍駐留費の41%を負担している」とし、「実状この比率には土地供与のような“隠された”費用は反映されていない」と指摘している。日本や韓国にいる米軍を米本土やその他の地域に駐留させる方がより費用がかかる。海外米軍基地は戦略的に重要なだけでなく、費用面でも効率的だということだ。

 韓米関係で韓国の寄与はそれだけではない。韓国は米国産兵器の最大顧客の一人である。昨年10月まで約10年間、米国から36兆360億ウォン分の武器を購入した。

 トランプ政府スタートを契機にこの際、韓国の防衛態勢に対する根本的見解を再検討する必要がある。防衛費分担問題に関して、韓国も徹底的に国益中心に考えることを原則にし、無理な増額要求はきっぱりと拒否する一方で、防衛費分担は両国が「防衛費分担特別協定」(SMA)を通じて協議するように誘導し、反対給付要求など、交渉戦略を樹立しなければならない。

 在韓米軍撤収の可能性はないが、むしろ韓国の自らの力量を育てる契機として積極的に活用しなければならない。何よりも韓国の安保を米国にだけ頼って解決するという考えを捨てるべき時だ。

(李相賢(イサンヒョン)世宗研究所研究企画本部長、1月19日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。