訪韓外国人客への対応不備、観光公社はシステム整備を


韓国紙セゲイルボ

 8月初めのことだ。“事件”は漢江の潜水橋で起きた。橋を歩いて渡っていると、子供と老人、40代と見える男女の家族と行き会った。女の子が、自分を捕まえて、流暢(りゅうちょう)な英語で話しかけてきた。道に迷った中国人家族らしい。

 不幸にも彼らは間違った人間を選んだ。中国語も英語もできない。苦難が始まった。女の子と身振り手振りで意思疎通すると、弘大入口駅近くにあるホテルに行きたいようだった。公共交通機関を使いたいといった。潜水橋近所ではバス停もなかったし、地下鉄の乗り換えは不便だった。これを説明する語学力もなかった。タクシーだけが答えという結論が出た。

 女の子に話した。「Taxi」と。分かったようだった。子供が中国語で熱心に家族に説明する間、コールタクシーアプリで近所まで来るタクシーを検索したが、結局失敗に終わった。慌てた。

 ふと韓国観光公社に電話をしてみればと気付いた。観光公社コールセンターに電話した。しかし、案内員は自分たちがコールタクシーを呼ぶことはできないといった。

 彼らが助けたことは中国語で、「タクシーに乗るのか」と家族に尋ねたことだけだった。近所のどこでタクシーが捕まるかとか、公共交通をどのように乗って行けば、ホテルに行けるとの助言はなかった。

 結局、その中国人家族がホテルに行くことができたのは私に会ってから1時間が過ぎてからだった。その間、女の子の弟は泣きわめいたし、両親は言い争っていた。

 今年私が体験したことの中で最も苦痛な時間だった。最後にタクシーに乗る時、彼らは「ありがとう」といったが、その言葉が真心からには聞こえなかった。

 中国に帰った彼らの頭の中には韓国旅行中、その1時間が最も長く記憶に残ってしまわないだろうか心配だ。その時、観光公社がタクシーを捕まえてくれたらどうだったのだろうか。家族は助かり、私は冷や汗をかかずに潜水橋を渡ることができただろう。

 観光公社が無責任だという意味ではない。こういう状況も生じることがあるという点を考慮して、対応システムを整備したら良いという意味だ。韓国では外国語実力が自分と同じような人々が大部分だ。外国人にそのような“不運”を体験させてはならない。

 韓国民全員が外国語を習うよりは、観光公社がそのようなきめ細かい案内システムを備えることの方が手っ取り早くはないか。

(イ・ドヒョン政治部記者、10月3日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。