米大統領選挙と韓国の運命
韓国紙セゲイルボ
世界的改編へ主人国家たれ
米大統領選挙を眺める韓国人の立場は複雑で息苦しい。共和党のドナルド・トランプ候補は在韓米軍の駐留費負担と韓米自由貿易協定(FTA)について、「交渉に応じない同盟国に対しては米軍撤収も検討する」と豪語しており、民主党のヒラリー・クリントン候補もFTAについて修正の意思を見せている。
北朝鮮には、トランプ氏は「金氏一家の奴隷国家」として強硬策をとり、ヒラリー氏は金正恩(キムジョンウン)を“苛虐的独裁者”と規定して対決姿勢を強めている。
韓国は絶体絶命にある。世界の火薬庫になるか、世界平和を主導するか、選択をしなくてはならない状況だ。第1、2次世界大戦がモンロー主義という米国の保護主義と、また、朝鮮戦争が米国の東アジア防御ラインであるアチソンラインの宣言と関係がなくはなかった。米国の保護主義と縮小主義が登場した時、世界的戦争が勃発した。
米国がまたその姿勢を強めている。これが韓半島で世界的な「戦争あるいは平和の事件」が起きる兆しとなるかもしれず、世界秩序の改編が近づいているのかもしれない。
トランプの「奴隷国家」という言葉は正しいながらも、決して気持ちの良い言葉ではない。金日成(キムイルソン)王朝全体主義を遠回しに言う言葉だが、韓国人にも奴隷根性があるのではないかと省みさせられる。
韓国が北朝鮮と本当に違うのかという疑問も出てくる。南北は60~70年前は朝鮮王朝体制と日帝の遺産を共有した一つの民族だった。その後、北朝鮮は共産主義体制、韓国は自由民主主義体制へ分かれたが、その遺産は今日も集団心理と文化的遺伝子(DNA)として作動しているからだ。
北朝鮮が政治・経済的奴隷国家ならば、韓国はひょっとして文化的事大・奴隷国家ではないか。国に主人精神があったとすれば、国家指導層と知識人が今日のような不正腐敗蔓延(まんえん)の国、正義を喪失した国、善悪が金によって左右される国にはしなかっただろう。
「礼」で行うべきことを「法」ですると「偽善」になり、「法」で行うべきことを「人情」ですると「不正」が大手を振るう。
韓国、北朝鮮をあわせて真の主人を考える余裕もないところが共通点だ。米国大統領に誰が当選しようが、自らの運命を自ら開拓できないならば主人国家ではない。
(朴正鎮(パクジョンジン)文化評論家、8月2日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。