次期大統領選候補に望まれるもの


韓国紙セゲイルボ

実現可能な両極化解決法提示を

 英国の欧州連合(EU)離脱決定は米大統領選挙戦に大きな波紋を起こしている。右派ポピュリストのドナルド・トランプは離脱を貫徹した英有権者の民族主義の熱風が大西洋を越えて米国を強打するだろうと豪語した。しかし、ヒラリー・クリントンは離脱決定以後の英国の混乱した有様で米有権者がポピュリズムに誘惑されないだろうと期待している。

 英EU離脱が英国の運命を変えたように、今回の米大統領選挙の結果により米国の今後進路が根本的に変わるものとみられる。

 ピューリサーチセンターの調査で、1970年に62%に達した米国の中産層が2014年には43%に減ったことが分かった。中産層から下へ墜落した低学歴、非熟練労働者が今年の共和党大統領選挙戦の過程でトランプを支持した。米国社会の怒った社会的弱者層が彼の人種、性差別の卑劣な言葉にカタルシスを感じているのだ。

 また他の社会的弱者層は民主党のバニー・サンダースにぶらさがった。特に奨学金を負ったまま社会に出てきたものの、働き口がなく、実家に頼って生きなければならないミレニアム世代の有権者がサンダースに熱狂的な支持を送った。

 クリントンはサンダースとトランプの間で「中道路線」を標榜(ひょうぼう)している。クリントンは既存の国際および国内秩序を維持する範囲内で漸進的な改革案を提示した。

 韓国の次期大統領選でも韓国版トランプ、サンダース、クリントンが出てくる可能性が大きい。両極化解消の時代精神には異論の余地がないが、その解決方法は違わざるを得ない。

 セヌリ党の劉承★(ユスンミン)議員は民主主義を跳び越える「共和主義」を提示した。正義、自由、平等を土台に公益を追求しなければならないというのが彼の主張だ。共に民主党の金富謙(キムブギョム)議員は、「亀裂を埋める共存の共和国」というスローガンを打ち出した。安哲秀(アンチョルス)国民の党前代表も12年大統領選挙の時からずっと「格差解消」を叫んでいる。

 米国の有権者が英国のEU離脱過程を見守りながら、一票の行方を悩むように、韓国の有権者は米大統領選挙戦に投影された投票者の心を再確認してみる機会を持つようになるだろう。英国人はポピュリスト政治家の手を上げた。今その代価を払っている。

 韓国有権者は今実現可能な両極化解決法を提示して、実践意思を信じることができる大統領候補が現れることを待っている。

(鞠箕然(クッキヨン)ワシントン特派員、7月4日付)

★=日へんに文

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。