“集団脱北”で韓国内の葛藤誘発を狙う北朝鮮
韓国紙セゲイルボ
北朝鮮は柳京(ユギョン)食堂女性従業員12人の脱北について、彼女らの両親を前面に立て「従業員が拉致された」として、「1日でも早く送り帰せ」と主張している。
北朝鮮は今回の集団脱北が金正恩(キムジョンウン)体制に冷水を浴びせた非常に深刻な事件と判断している。特に彼らが平壌に住んでいる忠誠心が強い教育を受けた中産層の子弟という点で動揺は大きい。家族を粛清すれば、中産層の民心が大きく離反すると予想され、放置すれば追加脱北が続くためだ。
結局、北朝鮮の選択は大規模粛清の代わりに南側に責任を転嫁し、両親と家族に送還を要求させることで、韓国内の葛藤を誘発し、国際社会の人権改善要求に人道主義的次元の理由で対抗しているのだ。
これに対して韓国内の民主社会のための弁護士の集い(民主弁護士会)が人道を振りかざして過度に介入し、社会的イシューに仕立て上げるなら、北朝鮮当局の思う壺だ。
国連人権委員会は2013年3月、北朝鮮人権調査委員会(COI)を設置、同委は14年3月、国連総会に報告書を提出して、北朝鮮内で組織的で広範囲な人権侵害が行われており、指導部および幹部に個人別刑事責任があることを明らかにした。
女性従業員をめぐる政治的意図を持つ訴訟で韓国内葛藤を拡大させてはならず、ミサイル発射を押し切る北朝鮮政権の意図を正確に把握しなければならない。
(洪圭徳(ホンキュドク)淑明女子大教授・国際政治学、6月24日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。