米大統領選挙の行方と韓国の国益
韓国紙セゲイルボ
世界各国が米大統領選挙戦の動向に神経を尖(とが)らせるにはそれなりの理由がある。米国がいくら“絵に描いた虎”に転落していきつつあるとは言え、国際社会で米国に代わる国がないからだ。
韓国の国益にとって最上の大統領候補は誰だろうか。それを考える前に見過ごせない事実がある。それは米大統領選挙戦で主要候補の対外政策が有権者の投票心理を動かす要素ではないということだ。対外政策より経済など国内政策を重視しているという点は疑いの余地がない。
序盤戦で予備走者たちが対外政策について言及することについて、外交専門誌フォーリンポリシーは、「伝統的に対外政策が大統領選挙の初期関門」だとし、「選挙走者は信頼できて能力ある(対外政策の)最高統帥権者資格があるという評判を得た後に、はじめて国内政策で有権者の評価を受けることができる」と説明する。トランプ氏が対外政策で極論を吐くのも、こうした「大統領イメージ」作りによるものだ。
しかも、選挙走者がぶち上げる対外政策公約も金科玉条ではない。いま取り上げられているイラン核交渉破棄、ロシアとの新冷戦、イスラム国家(IS)武力撃退などは実際に就任した後、実行に移す可能性が希薄なのが現実だ。
中国叩(たた)きも同じことだ。米国は浮上する中国を牽制(けんせい)と協力のどちらかを一方的に選択することはできない。そうするには米中双方が政治、外交、経済的に互いに深く絡まっているためだ。韓国の国益にとって、どの政党のどの候補が最も役に立つのかは予断しにくい。
北朝鮮を「悪の枢軸」と規定したジョージ・W・ブッシュ元大統領の共和党政府は韓半島問題解決の望ましいモデルではなかった。かといって「戦略的忍耐」で北朝鮮問題を放置したオバマ大統領の民主党政府が“代案”になることは決してなかった。
こうした不確実性の中でも確実なことが一つある。それは米国の特定政党や候補が就任後、韓半島問題で韓国の肩を持たないわけにはいかないように外交的環境を作るのは、結局、韓国の役割だという点である。
韓国の観点で米大統領選を観戦することに劣らず、政権交代に伴う変化を韓国の国益に接続することができるよう韓半島と北東アジアの環境を整えることが朴槿恵(パククネ)大統領政府がしなければならない核心課題である。
(鞠箕然(クッキヨン)ワシントン特派員、9月14日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。