朴槿恵大統領の「大蕩平」人事はどこへ行った


韓国紙セゲイルボを読

 権力機関長指名をめぐる論議が続いている。「普泗馬(チンサマ)」という言葉がある。人は晋州(チンジュ)、泗川(サチョン)、馬山(マサン)出身者でなければならないという意味だ。5大権力機関長中2人がPK(釜山・慶南)出身で、大統領府の長次官級90人中32人、36%が嶺南出身だという。

 もちろん与党の説明は全く違う。「地域と学閥はそれほど重要でない。国政哲学を共有し、その分野に専門的な識見を備えた人を選ぶのが政府の人事原則だ」と主張する。

 それでも特定地域出身が多いのはなぜか。残念ながら客観的に人事を行ったという説明に共感する人は多くない。最近の世論調査を見れば朴槿恵(パククネ)大統領の国政運営に満足と答える数が減っている。人事問題が一役買っているのだ。

 韓国は「地域」に敏感だ。朴大統領は選挙期間中、「地域均衡発展と大蕩平(不偏不党)人事で国民大統合を実現する」と述べた。当選翌日には「過去半世紀の間、分裂をもたらした葛藤の車輪を和解と蕩平の政策に切り替え、地域・世代・性別に関係なく満遍なく登用し、100%大韓民国を作るのが私の夢であり希望だ」とも語った。

 それなら、これからどうするか。セヌリ党の役割が重要である。政府与党は大統領と国民を政治的に連結する役割を遂行しなければならない。特に人事と政策などに関連した国民的要求と評価を反映させるべきだ。与党には大統領を説得できる政治力がなければならない。

 ある世論調査によればセヌリ党の役割に満足している人は31%にすぎない。53%がセヌリ党に満足できずにいる。同党の政治的役割が必要だという反証なのである。正常化は政府与党から始まらなければならず、その際、最初の出発は指導部の正常化からだ。

(朴明浩〈パクミョンホ〉東国大教授、11月1日付)