中国でなく日本を選んだ米国 韓国のTHAAD配備焦点に


韓国紙セゲイルボ

 中国の習近平主席は昨年11月、北京で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、安倍晋三首相を無表情で迎えて冷遇したが、今年4月22日、ジャカルタで開かれたアジア・アフリカ会議(バンドン会議)60周年記念式では、北京の時とは打って変わって温和な微笑で面会した。
 中国は「反帝国主義」を建国理念とし、日本に対する国民共感を形成してはいるものの、実際的な日中関係では実利を選択することができる国家だ。

 安倍首相は4月29日、日本の首相として初めて米上下両院合同会議で米国人の耳に心地よい演説を行い、日本は徹底して米国を支持していくと約束した。そして、日米2+2(外交・防衛長官)会議で日米防衛協力指針(ガイドライン)も確定した。日本の集団的自衛権行使を容認し、日本再武装の道を開いたのだ。

 新ガイドラインは日米防衛協力の範囲を従来の「日本周辺」から「全世界」へ広げ、尖閣諸島を念頭に置いて、島嶼(とうしょ)防衛規定も明示し、対中国抑止力も高めた。

 一方、5月9日、習主席はロシアで第2次世界大戦勝利記念式典に参加し、続けてカザフスタン、ベラルーシを訪問して、約90に及ぶ各種契約と協定を引き出した。

 王毅中国外相は、「協力と共栄の新型国際関係建設」と「中国シルクロード経済地帯に基づいた第三国の発展戦略」という成果を上げたと自評した。

 中国の北東アジアでの影響力増大と拡張政策は米国にも「新型大国関係」を主張して、米国の肯定的回答を待っていたが、米国が最終的に選んだのは中国でなく日本だった。国家利益と価値観を考慮した米国の選択であろう。

 中国は米国の終末高高度防衛(THAAD)ミサイル体系の韓半島配置問題に強い不快感を表したり、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)創立会員国として米国を招くこともした。

 現在、中国はAIIB参加を決めた韓国がTHAAD問題をどう決定するかを見守っている。「国家安保戦略」と「経済的協力」という二つの政策を融合しながら使う中国が、韓半島にいかなる政策を準備しているのか、もう少し注目してみる必要がある。

(金珍鎬〈キムジンホ〉檀国大教授・国際関係学、5月19日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。