無能政府に失望? 李舜臣がブーム


韓国紙セゲイルボ

映画「鳴梁」大ヒットで脚光

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映画「鳴梁(ミョンニャン)」のポスター

 たかだか13隻の戦艦を率いた忠武公・李舜臣(イスンシン)将軍と朝鮮水軍の前に日本水軍の大艦隊が雲集した。これを見て誰もが船を捨てて逃げた。だが李舜臣は決然と対抗した。「死即生」。死に対する恐怖が不屈の勇気に変わる瞬間だ。

 世界海戦史に残る大勝利はこのようになされた。今から約400年前の1597年、全南海南と珍島の間の鳴梁(ミョンニャン)海峽で繰り広げられた海戦はこうして「伝説」となり、今まで「神話」として残った。

 映画「鳴梁」(キム・ハンミン監督)の大ヒットとともに李舜臣が新たにスポットライトを浴びている。セウォル号事件で、船員と海上警察の誰一人として命を懸けて乗客救助を行わなかった現実に絶望した大衆が、国と国民の前に「無限責任」を負おうとした李舜臣に慰められるという分析だ。

 3日、映画館入場券統合ネットによれば、「鳴梁」は2日に全国で122万9016人の観客動員を記録し、1日観客動員数最多記録を打ち立てた。勢いは最初から明らかだった。初日に68万人以上を動員し、封切り日最多観客数記録と平日最多観客数記録を塗り替えた。歴代最短期間200万人突破と300万人突破記録も、やはり各々(おのおの)1日ずつ操り上げた。

 “李舜臣症候群”は社会の各所に広がっている。李舜臣の「乱中日記」をはじめとして、「しかし李舜臣がいた」「壬辰倭乱」等の本が飛ぶように売れている。大型書店関係者は、「李舜臣関連本の販売量が前年同期比で50%ほど増えた」と紹介した。

 李舜臣ブームに評論家らは、「セウォル号惨事で明らかになった指導力不在と関連がある」と口をそろえる。自身より国、国民を先に考え、惜しみなく命を投げ出そうとする指導者に向かった渇望が投影されているということだ。

 大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は、「セウォル号事件を体験し、信じられない政府に失望感が膨らんだ。映画の中の李舜臣は民のために戦ったという点で大衆に強い感動を与えている」として、「『死即生』という言葉に見るように、まず自らを犠牲にして率先垂範しながら無限責任を負う李舜臣の姿は今の政治家たちには見いだせない強力で魅力的なリーダーシップ」と語った。

 大衆文化評論家ハ・ジェグン氏も、「社会の指導層が不信されている時代に、国民が考える理想的指導者の姿を見せ、それが感動を呼んでいる」と分析した。

(8月4日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。