韓国紙セゲイルボ

真相究明難航で色あせる改革

　独コンラート・アデナウアー財団が最近“不吉な”展望を出した。セウォル号惨事について、「西欧民主主義の政治基準として見れば、政府と議会で徹底した調査が行われなければならず、責任者が責任を負うのが当然だが、韓国政治の基準では真相究明が、早急な忘却で色あせて消えることも予想しなければならない」としたのだ。

　「韓国国会議員が惨事から正しい教訓を得るのに成功するかは不確かで疑問になる」とも述べた。

　不吉な予感ではないか。だが、残念なことに、そのような兆しが見える。セウォル号沈没事故国政調査は証人採択問題に対する与野党の対立で一歩も踏み出せずにいる。特別委は最初の会議さえ開くことができない。

　惨事から40日が過ぎながら、国会の真相究明が難航しているとは、いったいどういうことか。国会は犠牲者・行方不明者家族の気が焦る心情は眼中にもないようだ。

　国会の倫理水準がこうだから、大統領府の公職社会改革の約束も信じられない。朴槿恵（パククネ）大統領は５月19日の対国民談話で、公職社会の悪弊を清算するための国家改造次元で政府組織を改編すると言った。安全行政部から人事と組織機能を外して、総理室傘下の行政革新処に移すという内容だ。

　だが、たった８日で事態は変わった。組織機能を安行部にそのまま残して、行政自治部と名前を変えることにしたのだ。官僚らの組織的抵抗に大統領府が説得されたのかは分からない。朴大統領が「一部批判世論を悪用して、部署の組織を守ろうとする利己主義を見せるならば、国民が容認しないだろう」と警告していたにもかかわらずだ。

　官僚は決して侮れない。朴大統領が改革の重責を任せた安大煕（アンデヒ）総理候補者は結局辞退した。抜擢（ばってき）の背景である清廉・剛直イメージが「前官礼遇」論議で色あせたためだ。

　「５カ月で16億ウォン」という呆（あき）れた巨額は、退官後も官僚時代と同じ優遇を受けるという慣行でなくては手に入らない金額だ。安候補者は官僚マフィア清算を主導する資格に致命傷を受けた。彼の落馬で朴大統領は政治的負担を負い、官僚社会改革にも支障が避けられなくなった。

　４・16以前と以後とでは完全に違わなければならない。国家的災難の原因を徹底的に明らかにして構造化した悪弊をなくさなければならない。政略的計算と性急な処方箋は禁物だ。重大な責務を誤らせるだけだ。十分な準備、緻密な戦略が必要だ。

　大統領と国会はアデナウアー財団の予想が間違ったことを証明しなければならない。

（ウォン・ジェヨン論説委員、５月29日付）

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。