司法試験復活論
野党「国民の力」の洪準杓議員が大統領候補を選ぶ党内選挙で2030世代の熱狂的な支持を得たことは一大事件だった。保守政党の大統領候補を目指す人物が20~30代の若い有権者の一方的な支持を得たことは珍しい。司法試験(司試)を復活させて「どぶ川から龍が出る」(困難な環境から立派な人材が出てくる)社会をつくり、修学能力試験だけで大学に入学できるようにするという“割り切った”公約が功を奏した。ここ十数年間、韓国社会がつくり上げた制度的合意の根幹を崩す公約だったが、「公正」を渇望する20~30代は「スカッとする」と票を集めた。
司試が大勢だったころ、国民は法曹分野だけは実力で当落が決まると信じていた。人の背景や親の財力に関わらず、誰でも努力すれば“希望のはしご”を上ることができた。ところが、劣悪な環境で何年も司試などを目指す“高試浪人”が深刻な問題となり、17年を最後に司法試験が廃止された。ロースクール(法学専門大学院)は有力者の子女の法曹界入りはもちろん、富と権力を継承させる手段に成り下がり、論議となっている。
司試準備生の集い(司準モ)は「4年制大学を卒業できない人と生計を立てているサラリーマンなどは昼間に運営されるロースクールに入学すらできない」とし、「司試と比べ不公正だ」と反発している。ロースクールの授業料も高いところでは年平均2000万ウォンに肉薄する。
与党「共に民主党」の李在明大統領候補が昨日、「司試復活論」を初めて唱えた。「ロースクールはそのままにし、一部だけ司法試験を(復活)して中学高校を出られなかった人々も実力さえあれば弁護士になれる機会を与えなければならないようだ」と述べた。彼は平素、「障害までもった貧民出身の少年労働者(自分のこと)が今の地位と役割を果たせるようになったのは明らかに司試のおかげ」だと言ってきた。洪議員のように2030世代の票を狙った戦略なのだろう。
すると司準モは声明を出して、「政界に飛び込み公正を強調してきた、司試9期生出身の尹錫悦『国民の力』大統領候補は法曹養成制度の改善と高試制度への立場を明らかにせよ」と圧迫した。李候補と尹候補は共に司試の恩恵を受けた。司試廃止は盧武鉉政権の司法改革の核心成果なので与党内には“過去回帰”との批判が出ている。司試復活論が大統領選挙で“ホットイシュー”になりそうだ。
(12月7日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。
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