チマブーエの絵画競売へ
フランス 高齢者宅の台所で発見
フランス・パリ北方30キロの町、コンピエーニュに住む高齢の女性が、価値を知らずに台所の壁に掛けていたルネサンス期初期の作品がオークションで競売に掛けられることが23日、明らかになった。作品はルネサンス初期のフィレンツェ派絵画の祖チマブーエの作品「あざ笑われるキリスト」で、推定額は400万~600万ユーロ(約5億~7億円)とみられる。
今回、10月27日にパリの北サンリスに拠点を置くオークションハウス、アクテオンで競売に掛けられることを明らかにしたのは、美術商エリック・テュルカン氏の事務所。作品を所有していた女性は、古い宗教画と考え、価値があるとは思っていなかったが、地元オークションハウスで鑑定してもらい、歴史的名画であることが判明したという。
1280年ごろに制作されたと思われる作品の作者、チマブーエは13世紀の画家で、初期ルネサンス期を代表する巨匠ジョットの師。作品の「あざ笑われるキリスト」は、大型のディップティック(蝶番(ちょうつがい)で繋(つな)げられた2枚折りの絵画)の一部と考えられ、他の場面を描いた部分のうち、「聖母子と二天使」は英ロンドンのナショナルギャラリーで展示されている。
さらに「むち打たれるキリスト」は米ニューヨークのフリック・コレクションで展示されており、同作品はキリストの受難と磔刑(たっけい、はりつけの刑)の八つの場面を描いたもので、今回発見されたのはその一つとされる。
(パリ 安倍雅信)