英離脱強硬派は「特別な地獄」に
いら立つEU大統領
ブリュッセルからの報道によると、欧州連合(EU)のトゥスク大統領(常任議長)は5日、英国のEU離脱の安全な離脱構想を提示することなく、英国市民をあおったとして、英国の政治家に対して「彼らには地獄の特別な場所が待っている」と痛烈な批判をした。
過激な発言で知られるトゥスク氏は、北アイルランド問題をめぐりブリュッセルで行われたアイルランドのバラッカー首相との会談後の記者会見で、合意なき離脱を最大限回避するよう英国側に求めるとともに、「英国のEU離脱を安全に実現させる計画を提示することもせず、離脱支持をあおった政治家には地獄の特別な場所があるだろう」と強く非難した。
いら立ちを隠せないトゥスク氏の発言に、バラッカー氏も「ひどいトラブルになりますよ」と耳打ちする場面をメディアはとらえ、報道した。
3月末に英国のEU離脱期限が迫る中、英国側は北アイルランド問題で議会がEUとの再交渉を求めており、こう着状態が続いている。英領北アイルランドとアイルランドの間に新たな国境を作らず、英国がEUとの関税同盟に止まるバックストップ案を、両首脳は支持。
後に登壇したユンケル欧州委員会委員長に、報道陣が「あなたも同じ意見か」と質問すると、「私は、この場に立っているのが地獄だ」とはぐらかす場面も報じられた。英メディアは、トスゥク発言で想定される離脱強硬派議員の批判の声を紹介し、互いに非難合戦の様相になっている。
(パリ安倍雅信)