仏大統領が懸念の電話
トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認める方針を打ち出す中、マクロン仏大統領は4日、トランプ氏と電話会談を行い、懸念を伝えた。欧州最大のユダヤ社会とアラブ社会を抱える仏国の立場から、中東和平の複雑化につながる恐れがある認定を思いとどまるよう強く求めたことを仏大統領府が明らかにした。
電話会談でマクロン氏は、「エルサレムの位置付け問題は、イスラエルとパレスチナの和平協議の枠組みの中で定めるべきもの」と伝えたという。また、エルサレムの住民の平和と安全の確立を優先する必要があると指摘している。
米国は1995年に、イスラエルの駐米国大使館をエルサレムに移転させる法的手続きを取ったが、大統領には6カ月単位で延期する権限が与えられ、今日に至っている。米国政府のギドリー報道官は、エルサレムへの首都移転について、「トランプ大統領のこの問題についての考えは明らかで、移転は『もし』ではなく『いつ』行うかだ」と述べている。
今回、電話会談を行ったマクロン氏とトランプ氏は、ともに今年初めて大統領に就任し、エルサレムの首都認定問題では意見が大きく異なっている。同問題で両国は、2013年にオランド前仏大統領とオバマ前米大統領が会談しているが、中東和平の影響が大きいため同様な対立があった。
欧州連合(EU)のモゲリーニ外務・安全保障政策上級代表も、「2国家解決をめざすパレスチナとイスラエルの共存協議を覆すいかなる行動も絶対避けるべき」と警告している。
ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地エルサレムは、特にイスラエル政府とパレスチナの対立の火種となってきた。
(パリ安倍雅信)