罷免のカタルーニャ州前首相、亡命を模索か


ベルギーで弁護士に接触

 スペインからの報道によると、同国東部カタルーニャ自治州の独立を主導し、中央政府に罷免されたプチデモン前州首相が30日、ベルギーで亡命問題のエキスパートの弁護士に接触したことが明らかになり、亡命を模索しているとの観測が流れた。

プチデモン氏

10月27日、スペイン東部バルセロナのカタルーニャ自治州議会でカタルーニャの州歌を斉唱するプチデモン州政府首相(前列右)ら(AFP=時事)

 接触があった弁護士によると「プチデモン氏は亡命申請のためベルギーを訪れたのではなく、自治権を停止し、首相を罷免した中央政府への法的対応を準備する目的だった」と説明している。プチデモン氏は弁護士と正式に契約したとされる。

 10月1日に中央政府が違憲とする独立を問う住民投票を同州で強行し、先週末にカタルーニャ議会が独立宣言を可決したことに対して、スペイン検察当局は、プチデモン氏と州政府幹部を反逆罪および扇動、公金の不正支出で訴追する手続きを進めている。

 中央政府が自治権を停止したことに対して、反発を強める独立派住民に対して、プチデモン氏は「民主的抵抗」を呼び掛けた一方、独立反対派も29日に、大規模なデモを同州の中心都市、バルセロナ市内で行い、プチデモン氏と政府指導部を強く批判した。

 自治権を停止されたカタルーニャ州議会は、2015年9月の州議会選挙で独立賛成派で対話重視のカタルーニャ欧州民主党と中道左派のカタルーニャ共和主義左翼などによる統一会派ジュンツ・パル・シを形成し、第1党になった。一方、過半数には届かず、独立強硬派の左派、人民統一候補が閣外協力する形で、州政府が運営されてきた。

 ジュンツ・パル・シの支持率は有権者の40%だったとされ、今回の自治権停止で、同統一会派も分裂する可能性が出てきた。中央政府はプチデモン氏と幹部の身柄拘束も検察に請求しており、同時に州議会選挙の早期実施も模索している。追い込まれたプチデモン氏の動向が注目を集めている。

(パリ安倍雅信)