ノートルダム大聖堂前でテロ
犯人はアルジェリア人 警官襲撃、「IS兵士」主張
パリ中心部で最も観光客が集まる観光スポットの一つ、ノートルダム大聖堂で6日午後4時20分(日本時間同11時20分)ごろ、男がいきなりパトロール中の警察官にハンマーで襲い掛かる事件が起きた。警察官1人が頭を殴打され、別の警察官が男に向かって発砲し、男は重傷を負い病院に搬送された。警官は軽傷だった。
男は「これはシリアのためだ。自分はISの兵士だ」と叫んでいたことなどから、国内治安総局(DGSI)が、テロ事件として捜査を開始した。コロン仏内相は、男が料理用ナイフ2本を所持していたことや、発見された身分証明証を照合した結果、40歳のアルジェリア人学生であることを確認したことを明らかにした。
さらに容疑者は前科がなく、危険人物の監視リストにもなく、当局が把握していない人物だったことも明らかにした。男はパリ北西郊外のセルジー=ポントワーズ大学の学生寮にいたことから、部屋を捜索し、過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓うビデオが押収されたとしている。当局は単独犯という見方を強めている。
現場には当時、多くの観光客がいてパニック状態に陥った。ノートルダム大聖堂内には900人以上の来訪者がいて、警察官が武器や弾薬がないか調べる間、着席して両手を上げるように指示し2時間近く寺院内に拘束された。
今回のテロ事件は、英国ロンドンのロンドン橋でワゴン車が歩道に突入し、3人のテロ犯が通行人などをナイフで切り付け、7人が死亡、48人が負傷した事件から4日しかたっていなかった。
フランスでは、今年4月20日、シャンゼリゼ通りで警察官1人が殺害され、3月18日にはパリのオルリー空港内でパトロール中の警官が襲撃された警察官1人が死亡、また、2月3日にはパリのルーヴル美術館の地下売店エリアでパトロール中の兵士が襲撃されるテロが発生しており、警察官や兵士が標的となるテロが頻発している。フランス当局は、過激派組織からラマダン中のテロが呼び掛けられていることから、警戒を強めている。
(パリ安倍雅信)