仏大統領選 極右ゼムール候補 支持表明はなし


トランプ前米大統領からアドバイス

エリック・ゼムール氏

 最新の世論調査で4月に予定されるフランスの大統領選挙でマクロン現大統領、ルペン国民連合党首に次ぎ、3位につけている極右の政治評論家エリック・ゼムール候補が15日、トランプ前米大統領と40分にわたって電話会談を行った。トランプ氏との類似点を強調したいゼムール氏は、トランプ氏の支持を得るには至らなかった一方、トランプ氏からアドバイスを受けたことを明らかにした。

 フランス第一主義を掲げるゼムール氏は移民排撃や左派攻撃でトランプ米全大統領の選挙戦略に触発され、電話で支持を取り付けようとしたが、トランプ氏は「マクロンはいい奴だ」と述べ、支持表明は避けたという。ただ、ゼムール氏へのアドバイスには熱心で、「勝つために、決してあなたの方針を変えるべきではない」などと述べたと伝えられる。

 トランプ氏に常に批判的だったリベラル系メディアが多いフランスだが、昨年秋以降、ゼムール旋風が吹き荒れたことで、メディアも無視できない存在となった。「彼(トランプ氏)は、ポピュリズムに勝つことに成功した唯一の西洋の大統領という意味で、良きモデルだ」というゼムール氏は、トランプ氏との類似点が多いことを強調している。

 ゼムール候補は移民について「泥棒、殺人者、強姦犯」と呼んでいるのに対して、トランプ氏は2016年の米大統領選でメキシコからの不法移民を「レイプ犯」や「犯罪者」などと呼ぶなど類似点があるという。ただ、2016年、当選後のトランプ大統領に会おうとしてニューヨークのトランタワーを訪問したルペン氏と会わなかったように今回もゼムール氏とはトランプ氏は距離を置いた形だ。

(パリ・安倍雅信)