全成人にワクチン義務化 オーストリア


18歳以上 欧州初、来月から施行へ

新型コロナウイルスのワクチンを接種する男性=昨年8月、ウィーン(AFP時事)

 オーストリア国民議会(下院)は20日、ネハンマー政権(保守政党「国民党」と「緑の党」の連立)が提出した新型コロナウイルスのワクチン接種を義務化する法案を賛成137票、反対33票で可決した。医療関係者や教師など職種別のワクチン接種義務化を施行する国はあるが、18歳以上の全成人を対象とする義務化は欧州で初めて。

 妊婦や特別な疾患を持つ人のほか、コロナ感染から6カ月以内の人は免除される。妊婦は出産翌月末から接種の対象になる。初期の草案では14歳以上が義務化の対象になっていたが、18歳以上に引き上げられた。法案は連邦議会(上院)が承認した後、2月から施行される見通し。

 未接種者は保健省からワクチン接種のリクエストを受ける。従わなければ最大3600ユーロ(約46万円)の罰金が科せられる。

 野党の社会民主党、リベラル政党ネオスが法案に賛成する一方、反対する極右「自由党」は毎週、ウィーンなどで数万人を動員した抗議デモ集会を行ってきた。同党のキックル党首は20日の議会で「ワクチン接種を国民に強制するもので、全体主義的な蛮行だ」と激しく批判した。

 オーストリアでもオミクロン株の感染が広がり、新規感染者数はここ数日、1日2万人を超えている。21日午前の時点でワクチンを1回接種している人は75・6%、2回完了は75・2%。

(ウィーン 小川敏)