「ゴリアテに対するダビデ」 リトアニアの対中勇敢外交


英BBCなど欧州メディア称賛

リトアニア

 

 人口約280万人の欧州連合(EU)の小国、リトアニアが昨年11月に「台湾」の名の下に駐在員事務所の開設を認めたことについて、英BBCはじめ複数の欧州メディアが、リトアニアは「中国というゴリアテに対するダビデ」と報じ、今もEU・中国間の緊張関係の最前線として注目されている。

 ゴリアテは旧約聖書に出てくるイスラエル民族の前に立ちはだかる重武装の巨人で、ダビデは羊飼いでありながら、勇敢にも石で立ち向かい、ゴリアテに勝つ物語だ。

 欧米諸国は、台湾を中国の属国とする中国に気を使い「台湾」という名称を避け、「台北」を使っている。リトアニアが敢(あ)えて中国政府が使用を禁じている「台湾」の名を使っての駐在員事務所開設を公式に認めた背景には、1990年にバルト3国の中で旧ソ連から独立したリトアニアには、民主主義と人権を普遍的な価値とする同国の明確なメッセージがあることが指摘されている。

 近年、リトアニアは、新疆ウイグル自治区の少数派ウイグル人や香港人の弾圧に対して、欧州で最も中国批判を続けてきた国だった。

 欧州メディアは総じてリトアニアの決定を勇気ある行動と称賛している。反発する中国はリトアニアとの貿易をボイコットしており、EUは中国の税関でリトアニア製品の輸入が拒否されており、欧州委員会は世界貿易機関(WTO)に苦情を申し立てることも視野に入れているという。

 BBCは「台湾菸酒公司(TTL)は、中国向けのリトアニア産ラム酒2万本を購入し、5日には、台湾は中国の圧力から国を守るためにリトアニアに2億ドルを投資することを計画している」と報じた。

(パリ 安倍雅信)