仏からの独立、三たび否決 ニューカレドニア


12日、ニューカレドニア・ヌメアで、独立の是非を問う住民投票に票を投じる女性(AFP時事)

 仏メディアは、南太平洋のフランス領ニューカレドニアで実施された独立の是非を問う3回目の住民投票で12日、暫定結果だが、独立反対が約96%と賛成を大差で上回り、独立は否決されたと報じた。独立派は仏政府の示した投票期日をめぐって対立し、多くが投票をボイコットしたとされている。マクロン仏大統領は結果を歓迎する声明を出した。

 報道によれば、投票率は前回2020年の85%よりかなり低い43%で、独立賛成派は3・5%にとどまった。前回の賛成46%に比べ極端に低い数字だった。投票結果について、ニューカレドニア議会の議長で独立派のシュ・ワミタン氏は「投票結果を受け入れない」と述べ、来年4月に予定される仏大統領選で選ばれた新大統領と協議し、数年以内の独立を目指すとの考えを示した。

 マクロン大統領は投票結果を受けてテレビ演説し、「投票棄権者は多数いたが、ニューカレドニアはフランスであり続けることを選んだ」と結果を歓迎する声明を出した。一方、仏政府としてはニューカレドニア内に広がる格差拡大について、約1年半かけて経済政策や税制などの将来像を議論すると説明し、問題解決に取り組むとの考えを示した。

 貧富の差で苦しむニューカレドニアでは、特に貧困層の多い先住民カナク人を中心に、約40年近くにわたって独立運動が繰り返されてきた。最初の住民投票は1998年に実施され、昨年2度目が行われ、独立派は残留派に迫る勢いを見せた。新型コロナウイルスの感染拡大で主要産業の観光業が打撃を受け、経済的な困窮が表面化していた。

 コロナ禍を受けて独立派の「カナク社会主義民族解放戦線」(FLNKS)が投票延期を訴えていたが、仏政府は認めず、結果的に独立派は選挙をボイコットした形だ。フランスは太平洋地域での権益と安全保障に深く関わっており、政府は独立に理解を示していなかった。

(パリ 安倍雅信)