IAEA 原発予測を上方修正、2050年に昨年の2倍
ウィーンに本部を置く国際原子力機関(IAEA)は20日から5日間の日程で第65回年次総会を開幕した。それに先立ち、IAEAは16日、「2050年原子力利用予測」に関するプレスリリースを発表した。10年前の福島第1原発事故以来、初めてIAEAは、今後数十年間の発電用原子力発電容量の潜在的成長の予測を上方修正した。
現在、32カ国で稼働している444基の原子炉は、約395ギガワットの設備容量を提供し、世界の電力の約10%と、すべての低炭素電力の4分の1以上を供給している。また、19カ国で50基の原子炉が建設中であり、約53ギガワットの追加容量を提供すると予想されている。
IAEAのハイケースのシナリオでは、世界の原子力発電容量が昨年の発電容量から50年までに約2倍の792ギガワット(正味電気)になると予想している。ただし、このハイケースシナリオの実現には、革新的な原子力技術の迅速な実施を含む行動が必要となる。
グロッシIAEA事務局長は「新しいIAEAの予測は、原子力が低炭素エネルギー生産において不可欠な役割を果たし続けることを示している。報告書の調査結果は、運転中に二酸化炭素を排出しない原子力発電が、正味ゼロ排出量を達成するための取り組みにおいて絶対に不可欠であるという認識が高まっていることを示す有望な兆候を表している」と述べている。
(ウィーン・小川敏)