新型コロナ デルタ株の入院患者急増
フランス 医療崩壊懸念高まる
フランスでは新型コロナウイルスの感染患者の入院が増え続けている。10日の直近24時間で211人の患者が新たに集中治療室(ICU)に入り、重い症状の患者を搬送する救命救急サービスを受ける患者も前日より45人増え、1712人となった。この数字は7月末には1000人を下回っていた。さらに中等症の入院者数も急速に増加し続け、9100人を超えている。
仏公衆衛生局のデータによると、10日直近の新規入院者数は944人となり、特にインド由来のデルタ株の感染が拡大している。直近24時間の新規感染数は2万8576人で、7日平均で2万2892人と高止まりし、陽性率は4・3%となっている。感染が拡大した昨年2月末からの累計死亡者数は11万2403人、68人が過去24時間で死亡した。
フランス海外領土、西インド諸島のマルティニーク島やグアドループで急速に感染が拡大しており、マルティニーク島ではロックダウンに踏み切り、バカンスで滞在中の人々に対して早急に島から出るよう規制措置が講じられた。フランス本土では10日に仏南西部ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏のすべての医療施設で緊急体制のホワイト・プランに切り替えられた。
フランスでは9日より、2回のワクチン接種完了や抗体の陰性証明の「健康パス」提示義務の適用範囲を拡大し、カフェやレストランでも1週間の導入期間を経て提示が正式に義務付けられる。ただ、健康パスに反対する抗議デモも4週間続き、混乱も生じているが、政府は運用を変更することはないとしている。
(パリ・安倍雅信)