ローマ教皇 東京五輪に強い関心
国や民族の調和促すと評価
東京五輪は23日開幕する。来月8日までの大会開催中、世界各地で自国代表選手の活躍を追う人々の声が響き渡る。世界に約13億人の信者を誇るローマ・カトリック教会の最高指導者、フランシスコ教皇も大のスポーツ好きで、東京五輪・パラリンピックにも強い関心を寄せている一人だ。
教皇のスポーツ好きを反映してか、バチカンニュースも東京大会については頻繁に報じている。
フランシスコ教皇の場合、出身地がアルゼンチンということもあってサッカーの大ファンだ。サッカー欧州選手権と同時期にブラジルで開催された南米サッカーの祭典「コパ・アメリカ2021(南米選手権)」の行方を公務の隙間をぬって、テレビ中継を追っていたと言われる。教皇の祈りが聞かれたのか、南米選手権ではアルゼンチンが11日、12大会ぶりに優勝を飾ったばかりだ。
バチカンニュース(7月19日)は、東京大会を「パンデミック下で開催される大会」と指摘する一方、「教皇はスポーツを民族、国家間の調和を促す手段となると高く評価してきた」と説明。「日本では、パンデミックゆえに開催が1年延期された。開かれる五輪大会については、喜びと悲しみ、誇りと懸念が混ざり合った思いで迎える人々が多いだろう」と、新型コロナウイルス感染対策に腐心するホスト国側の事情に配慮し、「(それゆえに)オリンピックの五つの輪で象徴されている全ての民族、国家間の兄弟姉妹、調和の価値を改めて発信する大会となってほしい」と訴えた。
また、「多くの困難、想定すらできない不確かな時代に直面している。五輪のメッセージは間違いなく全ての人々に今必要なことだ。われわれは皆同じボートにいる」と述べ、大会開催の意義を強調している。
(ウィーン・小川 敏)