仏軍がドローン迎撃実験、小型レーザーシステムで


 フランス国防軍は、米国やイスラエルで導入が進められている小型無人機(ドローン)を用いた軍事作戦を受けドローン戦略を本格化する方針だ。ドローン攻撃に対応するためバリル国防相は7日、多数のミニドローンを迎撃する小型レーザーシステムの実証実験に参加した。

フランスの対ドローン小型レーザーシステム「HELMA―P」(仏軍装備総局=DGA、仏国防省ホームページより)

フランスの対ドローン小型レーザーシステム「HELMA―P」(仏軍装備総局=DGA、仏国防省ホームページより)

 仏国防省は「ドローンは外部作戦と領土内の両方で威力を発揮している」として、さまざまな戦闘場面で登場すると注目している。仏陸軍は、小型レーザーシステムによるドローン迎撃システムを2024年には配備する構えだ。

 国防省によると、今回の実証実験は欧州諸国では最初のものであり、米国とイスラエルでは導入が先行しているという。実証実験は、仏軍装備総局(DGA)のテストサイトで実施され、公共TVフランス2などが映像を公開した。

 米軍はイラクでドローンによる攻撃を実際に行っており、短期間に進化を遂げていると言われており、開発・配備予算も増加している。米ボーイング社は6月に戦闘機に空中給油する大型燃料タンク搭載ドローンの実証実験を成功させており、兵士を輸送する大型ドローンも開発されている。

 仏軍のミニドローン数十機を迎撃するテストは「検知、識別、無力化」という迎撃システムの三つの目的を達成させたと国防相事務所は説明している。使用されたHELMA-Pと呼ばれる対ドローン兵器は、仏企業シーラスによって開発された小型レーザーシステムでトラックなど車両に積載可能。「ドローンを検知し、追跡できるポインティングシステムと無力化レーザー」が搭載されている。

 戦場のほか、大勢の人が集まる大規模なスポーツイベントなどへのドローン攻撃を想定しており、敵ドローンをレーザー攻撃で応戦して無力化する。

 一方、仏軍は2019年12月、イスラム過激派の掃討作戦を展開しているアフリカ西部マリで、米国製ドローン「リーパー」を用いた初めての無人機空爆を行い、森林地帯に隠れていたテロリスト7人を殺害している。

(パリ・安倍雅信)