仏地方選 勢いに乗る右派国民連合


来年大統領選の前哨戦

フランスでは20日と27日に統一地方選が実施される。2022年春に実施予定の次期大統領選の前哨戦といわれ、複数の世論調査で20日の第1回投票で右派・国民連合(RN)が13地域圏のうち約6地域で首位に立つと予想されている。さらに27日の決選投票で、少なくともプロバンスアルプコートダジュール(PACA)地域圏議会を制すると予想されている。

「国民連合(RN)」のルペン党首=17日、南部トゥーロン(AFP時事)

「国民連合(RN)」のルペン党首=17日、南部トゥーロン(AFP時事)

 一方、世論調査ではマクロン大統領の与党・共和国前進(LREM)の劣勢が伝えられる。マクロン氏は精力的に地方遊説を行い、新型コロナウイルス対策、改革路線で成果を出していることを訴えているが、コロナ禍がもたらした経済へのダメージにより、特に地方の失業率の高止まりで苦戦が伝えられる。

 マクロン氏は地方遊説で訪れた仏南部タンレルミタージュで8日、マスク着用義務が解除され、飲食店の営業再開のめどが立ったことをアピールし、市民と交流中に若者に平手打ちされる事件が起きた。LREMは17年の国民議会選挙で圧倒的過半数を確保したが、今は過半数割れしている。RNの台頭を阻止するのに躍起だ。

 仏メディアが「ルペン氏には余裕すら感じられる」と報じるほど、RNは優位に立っている。ルペン氏は、世論調査で次期大統領選の決選投票でマクロン氏に対抗する最有力候補者とされており、今回の地方選は試金石となる。

 特にルペン氏にとっては、地方選も大統領選も中道右派との戦いといわれ、支持が伸びない社会党などの左派勢力は視野に入っていないとされる。ルペン氏は、父親が結党した国民戦線の過激なアプローチと決別し、穏健で国民の生活に責任を持つ政党に生まれ変わったことを強調している。