仏パリ ルーブル美術館館長に初の女性
世界最大規模のフランス・パリのルーブル美術館の次期館長に、ロランス・デカール氏(54)が任命された。ルーブル美術館史上、初の女性館長となる。デカール氏は現在、パリのオルセー美術館の館長を4年務め、オランジュリー美術館の館長も務めている。
ロランス・デカール氏は、ジャーナリストで作家のジャン・デカール氏の娘で、小説家のガイ・デカール氏の孫娘に当たる。パリ・ソルボンヌ大学とルーブル美術館で美術史を学んだ後、パトリモワン国立美術館で職歴をスタートさせ、1994年にオルセー美術館のキュレーターとして最初の役職に就任。その間、米メトロポリタン美術館、英ロンドンの王立美術館、スペイン・マドリードのティッセン美術館など国際的な美術館と協力して、いくつかの展覧会を手掛けた。
2007年にフランス美術館庁の科学ディレクターに任命され、ルーブル・アブダビの開発を担当するオペレーターに任命された。11年に一般遺産学芸員に昇進した。19世紀から20世紀初頭の芸術の専門家を目指すと同時に、美術館に多くの若者が来館するように工夫をこらし、ナチスによって略奪された作品の返還、また現代的テーマの企画展も手掛け、成功を収めてきた。
デカール氏が館長を務めるオルセー美術館は、「ブラックモデル」などの野心的な企画展をいくつも実施し、来館者数を増やし、19年には370万人の来館者があり、国立美術館として自己資金率を64%にまで押し上げた。
オルセー美術館はルーブルとともに新型コロナウイルス感染拡大の中、半年以上、閉館を強いられたが、オルセー・ワイドオープン・プロジェクトで、米国の常連客から2000万ユーロの寄付を集め、閉館中に展示スペースを拡張し、650平方メートルの教育センター、24年に開設される国際研究センター設立などに取り組んできた。
今回、マクロン大統領によって、規模も来館者数も世界最大のルーブル美術館の館長に任命されたデカール氏は、メディアに対して、新しい世代を引き付ける美術館構想を熱く語っており、「すべての年齢とすべての社会文化的背景を持つ来館者を迎える」美術館にしたいと抱負を語っている。
(パリ・安倍雅信)