英EU 貿易交渉継続で合意
年末に離脱移行期間終了
欧州連合(EU)と英国は13日、年末の英離脱移行期間終了を目前に控え、貿易交渉を継続することで合意した。
フォンデアライエン欧州委員長とジョンソン英首相は電話会談を行い、13日を最終期限とした貿易交渉が合意に至っていないことから「現時点ではさらに努力する責任がある」として交渉継続で合意した。
交渉が妥結した場合、英国は議会で、EUは欧州議会で協定を批准する必要がある。EUは加盟する27カ国すべてが批准する必要があり、年末までのスケジュールは秒読み段階に入っている。ジョンソン首相は「悪い合意なら、合意なき離脱の方がいい」と何度か述べており、「合意なしの可能性が最も高い」とも述べている。
交渉の焦点の一つは英海域の漁業権問題で、EU側は関係国が従来通りの漁を行いたいとし、英国が認めなければ英国の漁業関係者のEU市場へのアクセスを認めないとしており、英国側は主権を主張し拒否している。協定がまとまらなければ、英海域を海軍が監視する案が浮上し、英与党内にも反発の声が上がっている。
二つ目は英離脱後、英国が単一市場に無関税でアクセスする一方、雇用条件、企業への補助金などでEUルールに従わず、独自の基準を適用しようというのは、EUは不公平だとしている。同件については、不公正な競争を阻止できればEU側は英国に例外を認める方向で妥協点を探っていることが伝えられる。
英国からの報道によれば最も重要な交渉の焦点は、英国が離脱移行期間終了後、どの程度EUのルールに従うかで、主権を取り戻すことを最優先に考えるジョンソン首相を納得させるのは容易ではない。英国と北アイルランドで国境を接するアイルランドのマーティン首相は、貿易協定なしの移行期間終了は、双方の「政治手腕のひどい失敗」になるだろうと語っている。
(パリ 安倍雅信)