自転車利用を奨励 フランス、封鎖を大幅緩和


 新型コロナウイルスの封鎖措置を大幅に緩和したフランスで、公共交通機関の混雑を軽減するため、自転車の利用が奨励されている。パリでは自転車専用レーンの整備が急ピッチに進められ、地下鉄や鉄道駅が混雑しないよう警官や治安部隊が動員されている。

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1日、パリの地下鉄でマスクを着けて通勤する人々(EPA時事)

 パリ市と周辺のイルドフランス地域圏では、日本円で約350億円を投じて総延長680㌔の自転車専用レーンを設置する計画を進めており、片道2車線の1車線を自転車専用レーンにするための黄色の線引き作業が急ピッチで行われている。市民は電車通勤のリスクを懸念しており、健康のためにも自転車通勤は歓迎されている。

 11歳以上に外出時のマスク着用が義務付けられたため、政府は9日からマスクを国民1人に2枚ずつ無料で配布した。「今後、マスクはファッションの一部になる」とするファッションメーカーもあり、新たなマスク市場が出現しそうだ。

 政府は緊急事態宣言を7月10まで延長するとともに、緩和後も厳しい措置を続けられるよう法整備を行った。パリでは午前6時半から9時半、午後4時から7時まで公共交通機関の混雑を避けるため、駅への入場制限などを実施する。

 時差出勤を奨励する一方、通常、16万人が働いているパリ西郊外のビジネス街のラ・デファンスでは、11日から3万から4万人のサラリーマンが通勤を開始するとみられている。電車内はマスク着用が義務付けられているが、政府は市民の自転車利用を呼び掛けている。

(パリ 安倍雅信)