フランスで死者2万人超える
DV深刻化 入院数は減少
フランス保健当局は20日、新型コロナウイルスの感染者が15万5383人、死者が2万265人になったことを発表した。同国の死者数は、米国、イタリア、スペインに次いで2万人を超えた。感染による入院者数は前日の3万610人から3万584人と6日連続で減少し、集中治療室(ICU)の患者数も前日の5744人から5683人と12日連続で減少した。
フランスでは3月初旬、感染者が急増し、同17日から学校の休校、外出制限を含む全国での封鎖措置が取られた。入院者数が減少するものの、サロモン保健当局責任者は「終息宣言をするには程遠い」という認識を示した。
2度の延長で5月11日まで封鎖措置が延長されている一方、段階的な解除も政府は準備中で、学校の授業再開の検討が進んでいる。
また、外出禁止が5週間続き、学校が休校する中、テレワークで自宅にいる親たちによる子供への虐待の被害が急増している。児童虐待に関するホットラインの通報件数は、仏内務省によれば、10日からの1週間で1万4693件に達し、前年同期比で89%増加したとしている。
ただ、家族全員が家にいる中での通報相談は困難なため、複数の支援団体から電話相談の件数が激減したことも報告されている。暴力は父親だけに限らず、自宅待機でストレスを抱える母親によるケースも支援団体は指摘している。
さらに、夫による妻への暴力も急増しており、日刊紙ル・パリジアンは、パリ西近郊のイヴリーヌ県のベルサイユ裁判所が妻の通報で逮捕された夫の審理に追われていると報じている。現場に駆け付けた警官が、過剰飲酒で暴れる男を取り押さえるのに催涙ガスを使うこともあると証言している。
暴力被害に遭う子供や女性を保護するシェルターの法的入所手続きも封鎖措置で停止状態にあり、受け入れ先がなく、自宅に止(とど)まることを強いられるケースも増えている。専門家は外出禁止の長期化が弱者を危険にさらしているとして対策が急務と警告している。