イタリア3405人、新型コロナでの死者数中国超え世界最多に


医療崩壊危機

 イタリア国内の新型コロナウイルスによる死者は19日、427人増の3405人となり、中国の死者数を超えて世界最多となったとイタリア政府が発表した。国内感染が最も深刻な北部ロンバルディア州では病院現場が限界に達し、重篤な高齢者を集中治療室に入れない選別が始まっていると伝えられる。同州ベルガモを取材した仏国営TVフランス2は「倫理上、正しいかどうかは別として、蘇生措置は生存の可能性が高い患者を優先している」と述べた。

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19日、イタリア南部ナポリで、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、消毒剤が散布される通り(EPA時事)

 「医師も看護師も限界状況の中で働いている」と窮状を訴えた。別の医師は「病床が飽和状態で患者を断っている。院内の病室の外で人工呼吸器を装着して待機させ、移送先を探すが見つからないことが多い」と述べた。重篤患者への付き添いは認められていないために、家族のみとりがないまま亡くなり、病院や教会に柩(ひつぎ)が並んでいる映像も紹介した。すでに北部の病院では、80~95歳で呼吸系疾患がある場合、人工呼吸器を装着する措置はしていない。「助かる患者を優先的に治療している」と医師は語る。イタリアは1000人当たりの病床数も医師数もフランスやドイツより少ない。支援を要請しようにも隣国は自国内の対応で手いっぱいの状態だ。

(パリ 安倍雅信)