中国、対米長期戦を覚悟 外圧を国民団結に転化


 【北京時事】中国の習近平国家主席は1日、共産党創立100年の記念式典で演説し、対中包囲網形成を進めるバイデン米政権に譲らない強硬姿勢を前面に打ち出した。米国との対立長期化を見据え、外圧を国民の団結に転化させる狙いがある。

 「外来勢力によるいじめ、圧迫、奴隷的酷使を断じて許さない。そんな妄想をする者は、中国人民が血肉で築いた鋼鉄の長城にぶつかり、頭を割られ血まみれになる!」。習氏が話し終わらないうちに観客席から拍手が起き、すっきりしたような笑顔を見せる観衆の姿も目立った。習氏が念頭に置いたのは、列強に半植民地化された過去と、対中圧力が強まる現在の国際環境だ。

 新中国建国翌年の1950年に勃発した朝鮮戦争で中国は北朝鮮に援軍を送り、米中は戦火を交えた。71年に名古屋市で開催された世界卓球選手権大会を端緒とする「ピンポン外交」で緊張が緩和し、79年に国交正常化にこぎ着けた。米中には当時、対ソ連共闘の思惑もあった。

 中国外交トップの楊潔篪共産党政治局員は今年4月の共産党機関紙・人民日報に、ピンポン外交50年の記念論文を寄稿。「小さな球が大きな球(地球)を動かした。長期の対立・隔絶状態の中、国交の扉を開いた」と振り返り、「中米は平和共存できる」と訴えた。

 しかし、「中華民族の偉大な復興」に向け、建国100年を迎える2049年ごろまでの「社会主義現代化強国」建設を目指す共産党政権と、資本主義国を代表する米国との対立は根深い。米政治学者マイケル・ピルズベリー氏は著書で、中国が49年までに米国を超越する「100年マラソン」計画を実行していると指摘。人民日報系の環球時報は今年4月の社説で「中国は米国とマラソンを競う。長引くほど米国は持ちこたえられない」と持久戦を唱えた。

 バイデン大統領は中国を「唯一の競争相手」と位置付け、米議会は超党派でハイテク分野などの対中競争力を高める法整備を進める。北京の有識者は「バイデン氏もそれ以降の米大統領も『中華民族復興』を邪魔するだろう」と警戒する。

 中国はかつての敵国ロシアと対米で手を組む。6月28日、オンラインで会談した習氏はプーチン大統領を「古い友人」と呼び個人的関係を誇示した。両首脳は共同声明で「両軍の協力を一層深化させる」と宣言し、共闘姿勢を鮮明にしている。