最高裁人事 米上院、バレット判事承認


トランプ氏 再選に向け実績

 米議会上院は26日、トランプ大統領が連邦最高裁判所の新しい判事に指名した保守派のエイミー・バレット判事を賛成多数で承認した。米大統領選の投票日が約1週間後に迫る中、トランプ氏にとって保守派の有権者にアピールできる実績を得ることになった。

6日、米ホワイトハウスのバルコニーに立つトランプ大統領(左)と連邦最高裁判事に就任したエイミー・バレット氏(EPA時事)

6日、米ホワイトハウスのバルコニーに立つトランプ大統領(左)と連邦最高裁判事に就任したエイミー・バレット氏(EPA時事)

 上院本会議の採決で賛成52、反対48の賛成多数で承認した。民主党議員はすべて反対に回ったが、共和党議員の造反は1人にとどまった。

 バレット氏の就任で、定数9の最高裁判事のうち6人を保守派が占めることになる。今後、人工妊娠中絶、同性婚、銃規制などをめぐり保守派の価値観が反映された判決が増えるとみられる。

 トランプ氏は26日夜、ホワイトハウスで式典を開き、指名公聴会を通じて「全世界がバレット判事の深い知性や優れたバランス感覚、そびえ立つ知性を目にした」とたたえた。バレット氏は「何者も恐れず職務を遂行する。判事は大統領と議会だけでなく、個人的信条からの独立も宣言している」と述べ、中立性を重んじる考えを強調した。

 バレット氏は9月に死去したリベラル派で若者の間で人気の高かったルース・ギンズバーグ判事の後任。トランプ氏が指名した3人目の最高裁判事が就任することになり、同氏は巻き返しに向けこれを実績としてアピールし、保守層の支持を固めたい考えだ。

 一方、民主党は、医療保険制度改革(オバマケア)廃止や妊娠中絶の抑制につながるとして承認に反対した。民主党候補のバイデン前副大統領は、今後もこうした危機感を訴えることで、リベラル層の支持の拡大を図るとみられる。

 リベラル派の間には、最高裁判事の定員を増員し、リベラル派を送り込むべきだという案も浮上している。バイデン氏はこれについて態度を明確にしていないが、大統領に当選した場合には司法改革についての超党派の検討委員会を設置する考えを示している。

 連邦最高裁は来月からオバマケア廃止をめぐり審理を行う予定で、その判断に注目が高まっている。また郵便投票の急増により大統領選で僅差となった場合、集計結果をめぐり争いとなり、最終的に最高裁が判断を下す可能性も指摘されている。

(ワシントン 山崎洋介)