11年「あっという間」、教訓を後世へ決意新た
宮城・福島で発生時刻に黙祷、「当たり前の暮らしが一番」
またあの日が巡ってきた。家族を、友人を無慈悲に奪い去った巨大な揺れと津波。東日本大震災から11年となった11日、東北各地の沿岸部では、地震発生時刻の午後2時46分、多くの人が鎮魂の祈りをささげ、教訓を語り継ぐ決意を新たにした。
震災関連死を含め3500人以上が犠牲となった同県石巻市。母を亡くした小売業大槻康樹さん(43)は家族で復興祈念公園を訪れ、「子供2人は震災後に生まれたので実感を持てないと思うが、いつか分かるはず」と話した。「がんばろう!石巻」と書かれた看板の前で黙とうした看護師羽根田久美さん(40)は「11年はあっという間だ」と涙を浮かべた。
福島県相馬市では、地元の子供らが犠牲者へのメッセージなどをつづった木の葉約1万枚を海に流した。菊地桜子ちゃん(5)は、津波で亡くなった曽祖父へ「元気だよ」と報告。母親の春奈さん(34)は「子供たちに震災の経験を伝えていきたい」と話した。
東京電力福島第1原発事故の対応拠点となった同県のサッカー施設「Jヴィレッジ」でも黙とうが行われ、知人が犠牲となった前橋市の林ちなみさん(57)は「つらい話ばかりで、ここを訪ねるのはためらわれたが、10年を過ぎて初めて来た。当たり前の暮らしが戻ることが一番」と語った。