飲食店「五輪はやるのに」「対応が場当たり的」
緊急事態宣言でまたも酒類制限へ、観戦予定者も不満あらわ
新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、政府が4回目の発令を決めた緊急事態宣言。またも酒類提供の自粛を余儀なくされる東京都内の飲食店では8日、「五輪はやるのに」「また酒が悪者にされるのか」と怒りの声が渦巻いた。宣言下で行われる東京五輪は「原則無観客」となる見通しが強まり、二転三転する判断に観戦チケットを持つ人たちからも批判の意見が相次いだ。
文京区の居酒屋「海山和酒なるたか」店長、阿久津貴秀さん(48)は「五輪をやるならこっちもやらせてくれよと思う。納得しろと言われても難しい」と落胆を隠せない様子。「お酒はお客さんを入れる大事な武器。取り上げられたら売り上げが立たない」と憤った。
「私たちが五輪の犠牲になっている」。港区新橋で居酒屋「やきとんユカちゃん」を営む藤島由香さん(45)は宣言期間中も酒の提供を続ける方針といい、「政府の対応は場当たり的。自分の身は自分で守る」と言い切った。
宣言決定により、東京五輪は開幕が2週間後に迫った土壇場で「原則無観客」の公算が大きくなった。開・閉会式を始め、競泳やサッカーなど100枚近くの観戦チケットを押さえていたという渋谷区の不動産経営者滝島一統さん(45)は「努力して予定を明けたのに。政府の判断は遅過ぎる」と不満をあらわに。女子サッカー準決勝のチケットを持つ30代の女性会社員も「無観客は残念。当選してからずっと楽しみにしていたのに」とこぼした。