全国で相次ぐプラグ抜け、ワクチンの廃棄原因に


保管用の冷蔵庫で相次ぐ、原因は不明、ネットで呼び掛けも

全国で相次ぐプラグ抜け、ワクチンの廃棄原因に

ワクチンを保管する冷凍庫に多く使われる形状の電源プラグ=25日(時事)

 新型コロナウイルスワクチンを保管する冷凍庫や冷蔵庫の電源プラグがコンセントから抜ける事故が5月下旬以降、各地で相次いでいる。多くの自治体は「原因は不明」と説明し、ワクチンの廃棄を余儀なくされるなどの影響が出ている。インターネット交流サイト(SNS)には「プラグを抜こう」と呼び掛ける投稿もあるが、関係性は分かっていない。

 「特に不審な点がなく不思議だ」。大阪府寝屋川市の担当者はこうつぶやく。市内の集団接種会場では19日、ワクチンを保管する冷凍庫のプラグが抜けているのが見つかり、ワクチン510回分を廃棄した。現場責任者は前日、会場施錠時に電源を確認し、問題はなかったという。市は府警に相談したが、夜間に何者かが侵入した形跡を確認できず、事件性は低いと判断された。

 兵庫県芦屋市でも25日朝、プラグ抜けが見つかった。24日夕、職員が冷蔵庫を設置した部屋に施錠。帰宅時に異常はなかった。プラグは外れないようにテープで固定されていたといい、同市は「(職員らが)誤って抜いたとは確認されていない。原因は分からない」と説明している。

 プラグが抜ける事案は神戸市や兵庫県猪名川町、横浜市、千葉県市原市や埼玉県川越市、島根県大田市でも発生。計約2100回分のワクチンが廃棄を余儀なくされた。

 原因について大田市の担当者は「職員がコードを踏んで外れた可能性はある」と推測する。ただ、ワクチン保管用冷蔵庫メーカーの担当者は「足を引っ掛けたり意図的に抜いたりしない限り、通常、プラグがコンセントから外れることはない。自然に抜けたとも考えづらい」と首をかしげる。

 一方、ツイッター上では5月下旬ごろから「プラグを抜こう」というハッシュタグ(検索用の目印)付きの投稿が広がる。

 今月16日には、ワクチンの危険性を訴える政治団体の党首を名乗るアカウントが、大田市の事例を報じたニュースを引用。「ありがとう。#プラグを抜こう」とツイートした。党首は取材に対し、「アカウントが私のものか言う必要はない。投稿を見たことはある」と話している。