男子110m障害の泉谷駿介、「銀」相当の快記録


13秒06の日本新記録で初優勝、悔しさを糧に大きく飛躍

男子110m障害の泉谷駿介、「銀」相当の快記録

東京五輪代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権最終日の27日、男子110㍍障害の泉谷駿介(順大)が13秒06の日本新記録で初優勝し代表を決めた=大阪・ヤンマースタジアム長居(時事)

男子110m障害の泉谷駿介、「銀」相当の快記録

男子110㍍障害で日本新記録を樹立し、タイムの表示を前にガッツポーズする泉谷駿介=27日、大阪・ヤンマースタジアム長居(時事)

 不正スタート(フライング)により村竹、石川が失格になる波乱が起きた男子110メートル障害決勝。両隣のレーンが空いた泉谷は順大の後輩、村竹の無念さをおもんぱかった。「その分、頑張ろうと思った」

 1台目から日本記録保持者の金井と激しく先頭を争い、中盤以降に突き放した。13秒06の日本新記録が表示されたタイマーを確認してガッツポーズ。「競技人生で13秒1台を目標にしていた。びっくり」。リオデジャネイロ五輪の優勝記録まで0秒01と迫る「銀メダル相当」で、今季の世界3位となる。望外の記録に目を丸くして喜んだ。

 スプリント力が向上し、今季はスタートから1台目までの歩数を従来に比べ1歩少ない7歩にし、前半のスピードが増した。5月の関東学生対校選手権は5・2メートルの追い風参考ながら13秒05。世界トップレベルのスピードを体感した経験を生かし、わずか1カ月後に今度は公認で同様の快走を見せて、「全てがつながった」とうなずいた。

 走り幅跳びや三段跳びでも日本トップクラスを誇る天才肌。2019年世界選手権は代表切符をつかんで現地入りしながら、脚の故障のため欠場。「本当は自分もここで走れたのにな…」。その悔しさを忘れず、冬場は歯を食いしばって汗を流し、大きく飛躍した。

 東京五輪ではこの種目で、世界選手権を含め日本勢初となる決勝進出、さらに上の表彰台も見えてきた。「戦っていけるように頑張る。しっかりと決勝に残って良い結果を残したい」と誓う。伸び盛りの21歳が、新たな歴史の扉を開くか。