日本フェンシング協会会長に武井壮氏が就任
五輪直前に驚きの会長交代、選手への発信力に期待感
東京五輪開幕を約1カ月後に控え、驚きを持って受け止められるトップ交代となった。大胆な組織改革で話題を集めてきた太田氏に代わる新会長に、フェンシングにほとんど縁がなかった武井氏が就任。太田氏は「選手に響く言葉を伝えてくれる方」と述べ、特にその発信力に期待感を示した。
武井氏は陸上十種競技の選手として日本選手権で優勝。引退後は「百獣の王」をキャッチフレーズにタレントやコメンテーターとして活躍する。太田氏は「(十種競技で)日本一になっても生活が豊かになるわけではなく、フェンシングの境遇や課題観と合う」と説明した。
選手の引退後のキャリアアップにも目を向け、選手第一ならぬ「アスリート・フューチャー(未来)・ファースト」を掲げてきた日本協会ならではの人選とも言える。「(オファーは)青天のへきれき」とした武井氏は「(選手の)人生を変えられる道筋を今より進めることは可能」と決意を口にした。
太田氏は会長任期中にフェンシングのエンターテインメント化や財政健全化、外部人材の登用などで成果を上げた。一方で目標にしていた競技人口増加など思うように果たせていない課題も残り、新会長はポスト五輪の環境下で早速、手腕が問われる。武井氏は「太田会長の改革は同じ方向性で進めたい」と話し、路線を継承していく意向だ。