「インド株」のせい? 風評被害にカレー店悲鳴


売り上げ大幅減、客の差別的な問い合わせに「心が痛い」

「インド株」のせい? 風評被害にカレー店悲鳴

インドカレー専門店「シャルマ」のコック=2019年6月5日、金沢市(同店提供・時事)

 感染力が強いとされる新型コロナウイルスのインド型変異株。日本国内では「インド株」という言葉が独り歩きし、インド料理店などが風評被害に悩まされている。客からの差別的な問い合わせを受けたカレー店の代表は「インド人従業員と変異株は関係がなく、心が痛い」と話している。

 発見場所の国名を使うのが通例だった変異株の呼称について、世界保健機関(WHO)は5月末、ギリシャ文字のアルファベットを使うと発表した。対象国への差別解消が狙いで、日本政府も同様の対応を表明。加藤勝信官房長官は今月1日の記者会見で「今後は『アルファ株』『デルタ株』などを用いる。順次、新しい呼称に切り替えていきたい」と述べた。

 福岡県内に5店舗を構えるインド料理店「MINA(ミナ)」は、5月に入り急に客足が減った。インドでは5月初め、1日当たりの新規感染者数が40万人を超え、日本国内でもインド型が広がりつつあった。代表を務めるネパール人のガイレタンカさん(50)は「原因は分からないが、売り上げは3~4割減った。外国人への差別感情もあるのでは」と肩を落とす。

 「調理するのはインドの人ですか」。石川県内を中心に6店舗を展開するインドカレー専門店「シャルマ」は、5月の大型連休中からこうした問い合わせを受けるようになった。大友吉朗代表(42)は「『インド人も食べに来るのか』との声もあり、風評被害だ。料理人は1年以上インドに帰っておらず、変異株に関係はない」と訴えた。