白井健三が現役引退、「ひねり」で世界の頂点に


採点規則の見直しに苦しむ、今後は日体大で後進の指導へ

白井健三が現役引退、「ひねり」で世界の頂点に

記者会見で現役引退を表明した体操の白井健三=16日、横浜市の日体大健志台キャンパス(時事)

白井健三が現役引退、「ひねり」で世界の頂点に

リオ五輪の体操男子団体総合決勝。金メダルを獲得し、喜ぶ日本代表の白井健三(左)と内村航平=2016年8月、ブラジル・リオデジャネイロ(時事)

 白井が24歳の若さで現役を引退した。4月からの東京五輪代表選考会で結果を残せず、2大会連続の代表入りを逃した。「東京大会までというのは頭の片隅にあった。地元での五輪を区切りにしたい」。会見で悔いは見せなかった。

 他の選手がまねできないひねりの技術を生かし、17歳で初めて挑んだ世界選手権の種目別ゆかでいきなり頂点に立った。2016年リオデジャネイロ五輪では団体総合金メダルに貢献。「何も分からなかった。取ったというより、取らせてもらった」というが、当時、世界王者に君臨していた内村航平の後継者との期待も高かった。

 しかし、リオ大会後は採点規則見直しに苦しんだ。出来栄えを示すEスコアで、脚の交差や開きなど細かな要素が厳しく減点されるようになった。高難度の技を実施する白井は、Dスコア(演技価値点)で他の選手を上回っても、Eスコアで逆転を許すことが多くなった。代表を離れ、「つらい時期もあった」。それでも、今月の全日本種目別選手権では代表へのこだわりを捨て、ゆかで2位。最後に自分の演技ができたと振り返った。

 今後は日体大で後進の指導に当たる。「他の人ができない経験をした。指導者として伝えていく」。白井の名前が付く技を使う選手は世界でも少ない。いつの日か「シライ」を武器にするような教え子が出てくることを期待したい。