吹っ切れた田嶋大樹、打線に粘り大胆さが戻る


11年ぶり2度目、オリックスが5連勝でプロ野球交流戦V

吹っ切れた田嶋大樹、打線に粘り大胆さが戻る

広島に勝ち、喜ぶオリックスナイン=12日、京セラドーム(時事)

 山本、宮城、山岡…。力のあるオリックス先発陣が交流戦で調子を上げる中、田嶋は一人乗り遅れていた。「俺なんている意味ない」。自暴自棄になりかけた自分に、声を掛けてくれたのは裏方たち。「僕の心の支えというか、温かい言葉を送ってくれて。楽な気持ちになれた」

 吹っ切れた左腕の球は力強かった。ここ1カ月は消えていた大胆さが戻り、5回無失点。長いトンネルを抜け、ようやく勝ち星を手にした。「最後のピース」がはまり、11年ぶり2度目の交流戦優勝が決まった。

 5連勝で一気に決めた頂点。先発陣の快投が要因の一つだが、打線の奮起も見逃せない。これまで淡泊に映った攻撃が、交流戦は違った。辻打撃コーチは「粘りがみんなのテーマ。そういうことをしないと勝てない」と、意識を植え付けた。

 6日の中日戦はその象徴。1番福田が投手が疲れ切るほどファウルで粘り、16球目で適時打を放った。この日、広島の森下攻略に一役買ったのは、二回の若月の四球。球をじっくり見極め、つなぐ意識が福田の先制三塁打を呼んだ。

 昨年、2年連続の最下位に沈んだ。「才能ある選手はいるが…」と言われてきたが、今季はチームとしての強さが身に付きつつある。中嶋監督は交流戦のMVPを問われ「全員」と返答。そして、目指す先を定めた。「もっと喜んでもらえる結果を、秋に見ていただけるように頑張る」