「ドン・ファン」死亡事件、殺人罪で元妻を起訴
容疑者は否認・黙秘、和歌山地検も有罪立証可能と判断か
和歌山県田辺市で2018年、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた会社経営野崎幸助さん当時(77)が急性覚せい剤中毒で死亡した事件で、和歌山地検は19日、殺人と覚せい剤取締法違反(使用)の罪で元妻の会社役員須藤早貴容疑者(25)東京都品川区を起訴した。地検は認否を明らかにしていないが、捜査関係者によると、須藤容疑者は否認、黙秘しているという。
須藤容疑者の関与を裏付ける直接的な証拠が乏しい中、和歌山県警は状況証拠を積み重ねて逮捕に踏み切ったが、地検も有罪の立証は可能と判断したとみられる。
起訴状によると、須藤容疑者は18年5月24日、殺意を持って野崎さんに致死量の覚せい剤を摂取させ、急性覚せい剤中毒により殺害したとされる。
これまでの捜査で、野崎さんが常習的に覚せい剤を使用していた形跡がない一方、事件前に須藤容疑者が覚せい剤の密売人と接触していたとみられることが判明。さらに事件当日、野崎さんが覚せい剤を摂取したとみられる時間帯に、須藤容疑者が約4時間にわたり野崎さんと2人だけで在宅し、第三者が侵入した形跡もなかったことが分かった。
自殺をうかがわせる事情もないことから、県警は須藤容疑者が覚せい剤を摂取させたとして逮捕していた。